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zoom RSS 「BLOOD-C」、再考

<<   作成日時 : 2011/09/29 19:26   >>

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更衣小夜が物語を紡いでいる訳ではないなら、この作品は何を築きあげてきたのか。今一度色んな視点から考えていきたいと思う。





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 長いのと要点がまとまってないのとで正直文章的には駄目だめな感じなのですが、最後のまとめだけ読んで貰えると最終回が違った形で楽しめるのではないかなぁ…と。





■人から外れた存在に到達する為の道

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 「人を創るのは、何だと思う?…血肉の話をしてるんじゃない。『姿形』も一部ではあるが、今論じたいのは『内面』、と呼ばれる部分についてだ。『性質』、と言い換えても良い。それを創るのは、持って生まれた資質か。それとも、その後どう育てられたのか…なのか。
 人は、『それ』…に生まれるのか。それとも、『それ』…になっていくのか。その答えは……」


 第一話冒頭で語られた七原文人のセリフ。「BLOOD-C」という作品を「更衣小夜が自身に秘められた謎を解き明かしていく物語」としてではなく、「更衣小夜を研究対象とした人外の存在に関しての実験レポート」を描いたものだと捉えると、この独白は非常に重要な意味を持つことになります。


 BLOODシリーズにおいて扱われる吸血鬼はその呼称を「翼手」とし、「人間の体内にはない第5の塩基」を持つことに依って変化するものとされてきました。(「BLOOD+」においての設定なんで「BLOOD THE LAST VAMPIRE」や「LAST BLOOD」では違う場合もありますが多分大丈夫、多分)

 ですが、その「人間の体内にはない第5の塩基」はどうやって精製されたものなのかは明らかになっていません。BLOODシリーズにおける吸血鬼は「人と違う要素があるからコレは人ではない異形(翼手)であるのだ」と断定されるばかりで、それが存在する根本的な理由に関してはついぞ言及されないままだったのです。

 これまでのBLOODシリーズとは設定が異なるとされる「BLOOD-C」ですが、作品の構成要素に吸血鬼(人外の存在)を含んでいる以上語るべきテーマとして「吸血鬼がどうやって吸血鬼になったのか」を扱っているかもしれないと考えるのは至極妥当ではないでしょうか。

 寧ろそうなるとこれまで「BLOOD-C」で展開されてきた視聴者には全く目新しさも何も感じられないストーリーも納得がいくハズです。

 もう一回噛み砕いて言い直しますが、「吸血鬼とは何であるのか」ではなくて「何を原因として吸血鬼が生まれる(発生する)のか、または吸血鬼に変化するのか」を描いたのが「BLOOD-C」であると仮定する事が出来るのではないかという推測の元に本文を展開していきます。


■実験におけるアプローチに対しての推測

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 時々差し込まれる小夜が踏み越えるか踏み越えないかの境界にあるのを示唆するかのようなカット。

 吸血鬼が人から進化(変異)した存在であるのならば、どういった環境でどういった精神を形成すれば人は吸血鬼になれるのか。それ以前に人間がある段階から変質することで到達することが可能な存在であるのか、それとも吸血鬼は吸血鬼として生を享けるのか。

 「BLOOD-C」ではそういった疑問を解決する為に、一つの実験をオリジナル(正真正銘、生粋)の吸血鬼であると目される小夜を研究対象として展開していきます。

 浮島神社の巫女で父を更衣唯芳とし、<古きもの>との戦いで亡くなった母がおり、私立三荊学園二年B組に通う学生で、級友は鞆総委員長・時真慎一郎・網埜優花に求衛のの・ねね。父から渡された御神刀を手に<古きもの>と戦う存在である。

 以上の条件付け(設定)で実験は進行しますが、この実験の目的というか着地点は何だったのでしょうか。「この実験に意味はあるの?」と筒鳥先生も吠えてましたし視聴者の大半も同意見です。まずは一番わかりやすい回答を考えてみましょう。

 幸いわかりやすい回答へのヒントが11話での小夜の回想シーンにあるので、それを参考にして説明します。

「本当に強いな、君は。噂で聞いていた通りだ。米軍や日本政府が隠したがるのもわかる。小夜…人の形をした、人でないもの。その強さはやはり…人ではないからか。それとも、君が生きてきた道筋故か。知りたいな……」
「君が欲しいよ、小夜。その為にまずは、眠ってもらわなければね?」

(暗転)
 「麻酔は、効いてもすぐ醒めてしまうみたいだね。でも一度でも効いてくれて良かったよ。でないと、『彼』でも君を捕らえるのは難しかっただろうから。けれど、また暴れられるのは困るんだ。だから」
(背中に血液を抜き出す為のケーブルが取り付けられてる描写)
「大丈夫、全部抜いてしまうような真似はしないから。大切な君の血だ、大事に使わせてもらうよ。そうだ、まずは彼にあげないとね。あとは…もう用意してあるんだ。小夜…君に…餌を提供しようと思ってね」(以上11話小夜の回想より七原文人)

 上記のセリフから読み取れるように、七原は「小夜が破格の力を持っている事が人間でない事に起因するのか、それとも成長過程での学習活動にあるのか」を研究しようとしていたのがわかります。

 実際それを踏まえて10話までの内容を見ると、小夜は<古きもの>との戦いの中でこれまでの経験を活かして<古きもの>を倒した事は一度もなく、覚醒しての(本来の吸血鬼としての力を用いての)撃破に依存している事がわかります。データとして確証の得られる回数ではありませんが、これまでの結果を踏まえれば小夜の強さが人でない存在である事に起因すると十分に言えるでしょう。

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 これで「ああそういう話だったのかな」と納得して思考停止してもいいんですが、しかしその回答だけでは説明しきれない別の疑問が少なくとも一つあります。

 それはデータの採取方法について、「何故巫女の勤めとしての<古きもの>討伐を繰り返すだけに留める事なく、メインキャストの起用やらをして級友の喪失やらの展開を盛り込んだのか」というものです。

 科学的な研究における実験であるならば特定の環境下においての試験を繰り返せばいいだけであるのに、何故そこにストーリーを組み込んだのか。

 この疑問はこれまで展開してきたアプローチだけでは解答出来ません。という事は作品において展開された「実験」の全てについて未だ説明出来ていないのです。故にまた違う形で実験がどういうものであったのかに迫らなければなりません。


 人間として(吸血鬼として、これまでの経験値を全て失った状態で)<古きもの>を倒す(実験を行う)にあたって必要とされるのは、小夜を人間と思い込ませるだけの刷り込み(洗脳)と人間として自然に<古きもの>に向かう為の動機付けぐらいであるハズなのに、何故その実験の中に人との関わりを持ち込んだのか?

 そもそも何故小夜は人間として<古きもの>に立ち向かわなければならなかったのか。

 何故、小夜は強固に自身が吸血鬼である事を思い出さないのか。

 まず大前提において、小夜は吸血鬼であるのか?


■小夜が吸血鬼でない可能性

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 これまで「小夜はオリジナルの『吸血鬼』であり、11話の回想シーンで七原に捕まったのを契機に『自分が人間である』という刷り込みを受けて実験に参加してきた」という仮定で話を進めてきました。

 しかしその仮定で話を展開すると、先述した「小夜の人並み外れた力が経験値によるものか生粋のものであるのか」という実験で検証しようとした一つのテーマについては説明出来ても、実験の他の部分においては説明出来ない。つまり仮定にどこかズレがあると考えられます。

 ここで仮定を、「小夜は人外の存在であるが、彼女自身は『自分が人外の存在である』という認識が無いまま七原に捕まるまで活動を続け、『自分が人なのかどうか』を見定める為に実験に参加した」と設定するとどうでしょうか。こうすれば先程説明出来なかった実験の他の部分も、果てには実験の成立過程についてもおおよその検討がつく気がします。


 では、何故そういう仮定が成り立つのかについて説明しましょう。「小夜について何故『吸血鬼』であると断定せずに『人外の存在』であるという所までぼかすのか」・「小夜自身に人外であるという認識が無いという可能性が成立するかどうか」の2点についてです。

 まず前者の「小夜が『吸血鬼でない、あくまで人外の存在である』」という可能性について、外堀から少しずつ埋めていきます。

 今作「BLOOD-C」はこれまでのシリーズとは設定が異なると言及されてます。それは今まで考えられていた「小夜=吸血鬼(DIVA)」という設定が今作においては通用するか分からない事と同義です。寧ろ「翼手」が<古きもの>と名前を変えた時点で小夜が吸血鬼である可能性は極めて少ないと考えるべきです。

 次に考えるのは、11話の小夜の回想において七原文人が小夜について「噂で聞いていた通りだ。米軍や日本政府が隠したがるのもわかる。」と言及している点について。これまで小夜は世界規模の特殊機関で管理される存在とされてきました(大雑把でスイマセン)が、今作の小夜は「米軍や日本政府が」秘匿すべきものとして扱われているのです。
 何が言いたいのかというと、つまり今作における「『小夜』という人外の存在」は世界各地に存在するのではなく「米軍や日本政府」の手の届く地域…日本にしか存在しないのではないかと。


 更に考証を重ねると、<古きもの>の存在も「小夜はあくまで人外の存在なのだ」と裏付けているのがわかります。

 <古きもの>という人外の存在は「BLOOD-C」においての敵として扱われてきました。そして人間として小夜は<古きもの>を討ち果たそうとこれまで御神刀を振るって戦ってきました。
 ですが、<古きもの>は小夜と戦う姿勢を見せるものの何処か対峙する事を拒むような素振りを見せるわけです。「約定」という言葉を交えて。鎧武者とか目玉カワスミンは例外。

 「朱食免」という約定がありましたが、コレは11話までで「人が人間という種を絶やさない(絶滅)させない為に結んだ、一定量の生贄を<古きもの>(人外の存在)に捧げるといった契約」だと判明しました。

 小夜が「<古きもの>と同じ人外の存在である」と考えられるのであれば、これまで彼女に向けられてきた「約定を守れ」という言葉はもしかしたら「<古きもの>を喰らうのではなく人を喰え」という意味だったのではないかと考えられる訳です。

 こう考えれば小夜が脊椎さらけ出していた<古きもの>に悪食と言われていた理由もわかります。人のみならず<古きもの>も喰らう存在であるのですから。

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 これまでの前提を踏まえて考えていくと、小夜が吸血鬼では無い(人外であるのは変わらない)可能性がグッと上がるんですね。何故なら「小夜が<古きもの>と同じ人外の存在である」ならば、小夜という存在は古来からあるハズで妖怪と一緒に日本に吸血鬼伝承が伝わっていてもおかしくない(現実と混同するのではなく、現実の日本においてモチーフとなる吸血鬼伝承が存在するハズである)のに、日本にはハッキリとした吸血鬼伝承が無いのです。

 西洋に多いとされる吸血鬼の伝承ですが、実は世界各地に伝承があり中国のキョンシーやアラビアのグール(日本では屍食鬼と言われたり)も吸血鬼の一種であると捉えられたりします。
それでも、日本については吸血鬼伝承が存在しないのです。類似した存在は多々あれど、ハッキリと「吸血鬼である」と明言されたものはありません。
 一番近いのは青頭巾ですけど、アレは吸血鬼というよりも鬼ですし。

 以上から「小夜は吸血鬼ではない、あくまで人外の存在である」という仮定は(ツッコミどころには目を伏せていただく事にして)それなりに認められてもいいと思います。続いては「小夜自身に人外であるという認識が無いという可能性が成立するかどうか」について考えましょう。


■(守るべき/喪われるべき)メインキャスト

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 「実験開始前の小夜が『自分を人外である』と認識していなかった」可能性を考えるにあたって、まずは「何故実験の中において脚本(筋書き)が存在していたのか」について考察しなければなりません。

 十一話において、筒鳥や求衛のの・ねね、時真慎一郎は自分たちをメインキャストと言っていました。それ以外はエキストラのようなもので、自分たちは特別だから生きているけれども他の2年B組の生徒は全員死亡したと。メインキャストというのは「物語の中心となる配役、出演者」であり、実験を行うために不可欠な者たちの事を言います。

 しかしメインキャストである彼らは次々に死亡していきます。実験の中心人物である小夜の過失で。これについて「小夜がメインキャストを守れるか否かについても実験の内容に含まれていた」と考えられないでしょうか。

 振り返れば約束を頑なに守ろうしてきた小夜の姿は、必死に「自分には人間的な感情が存在しているのだ」「自分は人間であるのだ」と主張しているようにも見えます。実験開始前の彼女が「自分は人外の存在である」と明確に意識していれば、実験中において「<古きもの>を倒して、皆を守る」という約束にあそこまで強迫的な態度を取らなくてもいいハズなのです。

 9話の学校での戦闘後に「君は、何者なんだ」と鞆総委員長に問われた時に涙ながらに実験開始時に刷り込まれた設定を告げる場面も、見方を変えれば「ここまでやっても自分は人間なんだ」と思いたいが故の涙だったのかもしれません。

 こうしてみると、実験は小夜自身が「自分が人間であるのか」を確かめようとしたという側面もあったと考えられるわけです。


■プレイバック/七原の独白

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 実験開始前の小夜が人外の存在であるという認識を持ち合わせていたのかを検証するにあたって、最も有用な資料が回想で展開される七原の独白です。
彼の独白は突き詰めれば実験開始前の小夜との会話ですから、一連の独白を振り返る事で「小夜に人外の存在であるという認識があったかどうか」を判別出来ます。

 十一話までの七原の独白をある程度振り返りながら、それぞれの独白にどんな意味があったかを推察しつつ小夜の自意識について検証していきましょう。


「そう…君は人を創るのは『時間』である可能性もあると思うんだね?…成程。長い時間をかけて経験を重ね、出会いを重ね、人は『個』を形作る。けれど…やはり、それが『総て』ではないね。だって、ほら」(第二話より七原文人独白)

「人は、変わる。…確かにね。けれど、『変われる所』と『変われない所』があるだろう?どうしても変われない…根本的な部分。そこが変わったとしたら、それは前と同じ人なんだろうか。いや、それ以前に『根本とは変わるものなんだろうか』?それは…これから……」(第三話より七原文人独白)

 第二話の独白は「人の『個』は時間の積み重ねにより形作られる。でも例外として時間をすっ飛ばして『個』を形作っている小夜のような存在もいる」と語りかけているようですし、第三話では「根本的な部分が変わりうる存在は果して人であるのか」と問いかけているようであります。

 七原文人は第一話の冒頭でもそうでしたが、第二話・第三話の独白においても執拗に人の内面について言及しており、そこから外れる小夜が異質である事を繰り返し告げてきました。

 この2つの回想で殆ど判ったようなものですが、小夜には本当に自分がズレているという認識が無い。だからこそ五話の独白が生じるわけです。

「人は…理解出来ないことに遭遇した時、どうするのか。そう、『考える』んだ。『それは一体何なのか』、『なぜそうなったか』、『どう受け止めればいいか』、『これからどうすればいいか』。…でもね。考えれば考える程、それは不思議と『本質』というものからズレていってしまう。そう、『思考が邪魔してしまう』んだ。『本能が欲している事』を…『本当の答え』を……」(第五話より七原文人独白)

 更衣小夜は「人間である」と主張する割に悉く人間の行動原理とは外れた行動を取ってきました。

 3話ではパン屋を遠巻きに眺めながら電車の<古きもの>に喰わせますし、4話では3人組の救助に間に合いませんし、5話では助けた女性に血まみれの手を差し伸べますし、6話ではねねを自分の近くに寄せておくべきなのに放置しますし、影の<古きもの>に呑み込まれたののは躊躇にぶった斬りますし7話では<古きもの>の気配を察知出来ずに駐在さん殺しますし、8話ではクラスメイトが2,3人殺されてから剣を抜きますし、続く9話では何だかんだでグダつく感じでメインキャスト以外のクラスメイトを守れずに全滅させますし、10話ではギリギリでしたけど時真殺しますしでもう散々です。

 人間の思考で考えれば完全に理解出来ないんですよね。人間であると刷り込まれているならば、同じ人間を助ける為にどんなに無謀だとしても体が先に動くというのが普通だと考えられるハズなのにそれをしない。

 でも、それだけズレていても彼女は一般的には理解出来ない事に対してストレートに本能が欲する本当の答えを導き出します。少しの思考停止があっても真っ直ぐに小夜は<古きもの>を討つのです。

 人の為せる業ではありません。

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 続けて七原の独白を辿っていくと、「実験」は七原主導ではなく小夜と七原の二人で立案したものであるというのがハッキリと見えてきます。

「なら、試してみよう…二人で」(第六話より七原文人独白)

 この独白の前に小夜が何らかの否定的な意見(拒絶)を示して、それを切っ掛けとして七原が実験を持ちかけた…というのが正しい流れですかね。続いて、実験を行う中で大事なものとして七原は小夜とある「約束」を結びます。


「そう…『約束』だ。二人で試すと決めた事に、この約束は必要だから。そして、この『実験』には他の準備も必要だね。二人の主張…どちらが正しいのかを証明する為の実験だけれども、これは二人だけでは無理だ。…さて、準備に取り掛かろうか。小夜……」(第七話より七原文人独白)

 七原はここで「二人の主張…どちらが正しいのかを証明する為の実験」と述べています。「二人の主張」は恐らく「小夜が人間であるか否か」に関してのものでしょうか。

「そうだね、折角の『実験』だ。やるからには『勝者』と『敗者』を決めないと。そして勝者には『褒美』を、敗者には…『罰』を。小夜、君は勝ったら何が欲しい?負けたら、何を奪えば死ぬより辛いだろう?ねぇ、小夜……」(第八話より七原文人独白)

「そうだ、ご褒美を決めなくてはね。君が最後まで約束を守れたら何をあげようか。そして君が最後まで約束を守れなかったら…何を貰おうか。小夜、どうしたのかな?ああ、お腹が空いたんだね。可哀想に。今…(ノイズ)…を……」(第十話より七原文人独白)

 ここからも実験に関しては小夜が自主的に参加しているのだと読み取れますね。

 「実験」なのに勝者と敗者がいるっておかしくないかとは思いますが、そこはさらっと流して。

 七原が敗者になった場合は小夜が勝者になるという意味ですから褒美としてあるのは「小夜の解放」になるのでしょうか。いや、それだと独白の後半にある「与える⇔奪う」の関係が成り立ちません。

 小夜が現時点で大切にしているものといえば間違いなく父である唯芳でしょう。もしかしたら彼の命を救えるかどうかがこの実験の褒美と罰になるのかもしれません。

 最後に実験のキモが「約束」であると示す九話の独白で十一話に繋がる、と。

「そう、『約束』だ。君が約束を最後まで守れるのか、それとも…自ら破ってしまうのか。全ては君次第だ、小夜」(第十話より七原文人独白)


■純潔パラドックス

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 「BLOOD-C」という作品において「守る」という言葉はそのまま「特定の対象を守護・護衛する」といった意味と「『約束』を守る」といった意味との二つに分けられています。

 十話の七原文人の独白における「最後まで守れるのか、自ら破ってしまうのか」という言い回しから、「『約束』が何であるか」については「小夜が何度も記憶を洗浄して実験に臨んでいく中で(十一話までで)決して越えなかった一線は何であるか」を考える事でその解答が得られるでしょう。

 ここまでで「小夜は<古きもの>と同じ朱食免を持ち合わせた人外の存在である」という事については判明しています。そして小夜は<古きもの>の血を吸う事はあっても人間の血を吸う事は一度もしていません。それは恐らく「自分が<古きもの>のような人外であったとしても人の形を持つ以上人間としてありたい」という矜持からの拒絶なのでしょう。

 然るに実験の最後でそれ(一線)を保てるかが一番の正念場になる筈です。果して小夜は最後に何を(誰を)「守る」ことになるのか。

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「メインキャストの中で七原を除いて最後に残るのは誰か」を考えれば、それは間違いなく小夜の父・唯芳です。ただ、彼を守るのも最後の一線を守るのも困窮を極めるのは間違いないでしょう。唯芳は小夜の父であると同時に(確定してませんが)実験開始前に小夜を捕らえた怪物(<古きもの>?)だからです。

 <古きもの>を討ち倒す事が実験の中で義務化されているかは不明ですが、唯芳が刀を持って向かってきた場合、小夜はどう対処するのでしょうか。

 七話で唯芳は小夜に対してこう問いかけていました。

「しかし、<古きもの>と戦える巫女はお前しかおらん…。小夜、<古きもの>をどうする?」(七話より更衣唯芳)

 それに対して「倒します。約束したから」と答えていた小夜ですが、最終回でどうなるのか…この解答が遵守されるのか覆されるのかは全くわかりません。<古きもの>でありながら小夜の肉親を務めてきた唯芳がどんな末路を辿るかは、小夜の判断に頼るしかないのです。

 もしも小夜が唯芳を討ち倒し、更に唯芳の血を吸ってしまった場合、大切な人たちを守るという「約束」は喪われますし、加えて実験中において決して越えないと「約束」してきた一線を越えるコトになり、実験は小夜の負けという事になります。
 小夜がどういった条件を満たせば勝利するのかについては全くわかりません。カギになるのは狐犬なのかなーとも思うんですがそこら辺が出てくると想像の斜め上になるので放置しましょう。

 最終回が一体どんな形で締めくくられるかは全くわかりませんが、今はおとなしく物語の結末を待つことにしましょう。


■この記事のまとめ

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 話が長くなったんで、過程をすっ飛ばして考察で得た結論をまとめまーす。


・「BLOOD-C」は小夜についての研究記録である
・小夜は吸血鬼ではなくあくまで<古きもの>と同列の人外の存在である
・「約定を守れ」という<古きもの>の言葉は即ち「共食いをするな」というコト
・↑「人を守るな」と解釈してもいい
・本編中で行われた「実験」とは、小夜が人外であるかどうかを見極めるのが目的である
・小夜本人には(実験開始前においても)自分が人外である自覚はない
・↑だから実験に参加した
・守ろうとしてきた「約束」は「小夜が人の血を吸わずにいられるか」も含んでいる
・最終回の対戦相手は大きい犬と小夜の父・唯芳
・最終回の見所は「小夜が父を斬ってその血を吸うか」「実験に敗北した時どうなるのか」



 …ぐらいですかね。細かい部分はまた暇な時に読みなおして拾っていただければと思います。

 小夜の正体は何であるのかについてですが、吸血鬼の可能性は低い・<古きもの>と同列の存在である…加えてこれまで都度言われてきた『約定を破る』という言葉」から考えると彼女は正真正銘の鬼なのではないでしょうか。鬼も平気で約定破るらしいですし。

 <古きもの>の起源についても考えてみたいですが、いい加減長ったらしいのでおしまいにしたいと思います。最終回の感想記事で書けるといいですね。


 htmlタグも含めれば一万字近い長文にお付き合い頂きありがとうございました。今度はもっとわかり易いアニメについて考察したいです…。


ではまた。

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