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zoom RSS 角川ホラー文庫「BLOOD-C」 雑感

<<   作成日時 : 2011/10/05 18:54   >>

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 昨日買ってそのまま読了までいったんですけど、どう纏めたモノかなーと思って。確かにこの本を読めば「BLOOD-C」という作品でやろうとしていた意図かなんかは掴めるんだけど、だからと言ってアニメ本編で展開された情景に対する感慨なんかはこの本では浮かび上がってこない。そんな印象。(以下、アニメ「BLOOD-C」の話もしつつあんまり纏まってない感想)





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Q. 「『BLOOD-C』ってどういう作品なんですか?」
A. 「自分の事が分からない更衣小夜という少女が課せられた責務をこなしながらその責務…ひいては自分自身に潜む真実を見極めた先に、自分の進むべき道を見出す作品です」





小説版粗筋:大まかなストーリーラインはアニメ版と同じ。2話と4話の内容省略、最終回の唯芳の戦闘はもっと大掛かりで大きな獣に変貌した唯芳が商店街とかを破壊しながら小夜と対峙する。浮島地区は七原グループの私有地。



■小説の特徴とか

 小説においては<古きもの>に関して、きっちりと「日本古来から存在する怪異」といった言及が入っています。最もわかり易い例なんかは5話ラスト〜6話前半に出てきた大蜈蚣の<古きもの>ですね。アレの起源なんかをもっと筒鳥先生が説明してたら面白味もあったんじゃないかなーとか思いますがそれはそれとして。

 あとはアニメ序盤のテンプレだった「昼は学園生活、夜は<古きもの>退治」の流れをわかり易く再構成して、各話冒頭に<古きもの>に人や自衛隊の小隊なんかが襲われるくだりが挿入されてます。こういうテンプレがあればまぁ分かりやすかったのかなとかも思います。

 3話のパン屋については完全にミスだったのがわかりましたね。自分も感想記事で色々擁護してましたけど、小説通りに電車に呑み込まれた人間をパン屋だと小夜に認識させない流れにしておけば必要以上に糾弾されなくても済んだんじゃないのかなーと。


 戦闘シーンの描写では小夜が秘められた能力を発揮する為に祝詞を使う設定を追加してメリハリを付けています。第一話で述べられていた「たるたま、たまたまるたま…」って言ってたヤツですね。それを呟く度に小夜の身体能力が解放されていくといった形で描写されていくのですが、真相は七原文人の条件付ですよっていうオチで。あと戦闘シーン描写に何で剣技が無いのかについても説明があります。詳しくは省きますが、基本的に小夜がやっていたのは「レベルを上げて物理で殴ればいい」です。

 ちょっと拍子抜けだったのが筒鳥先生が11話で言ってた「百人一首に秘められている裏の部分云々」みたいなのが小説では少し説明されてるんですけど、いや…天つ風の一句だけ詠まれて陶酔されても僕らついていけないんですけど…みたいな感じでですね。やっぱり無視していいです。

 小夜の正体については日本古来…それよりもっと前のこの世が始まった頃に人の世に流れ着いた人の形をした異形という扱いでした。(何言ってるんだとお思いでしょうが実際そんな感じです)
 やっぱ吸血鬼じゃないですよねー、吸血鬼としてカテゴライズするのは間違いですよねーってドヤ顔したいですけど自分でもウザいので置いておきます。


 他の細かい部分に関してはどこかでバレがあると思うので言わないでおきます。ともかく小説版はTV放映を見た人たちの大半が抱いた「いや…どういう事だったんだ…」というのを的確に補完しつつ展開されたものだったと思います。

 ただTV放映を観た人が小説版を読むとその細かい部分以外にしか気が行かない程忠実ですので(鼻歌含め)、飽きるんじゃないかなーとも思ったりもします。


 小説版を読めば「BLOOD-C」という作品でやろうとしていた事を理解できるとは思うんですが、実際にTV放映された「BLOOD-C」を説明出来るかというとそれはまた違ったモノになるんじゃないかと思うんですね。

 どうあっても自分の中で確信として揺らがないのは、「小説版の流れをアニメ化しても面白くなかっただろう」というモノです。ぶっちゃけ小説版があんまり面白いと感じられなかった点に尽きるのですが、それが何故かというと小説版においては「各登場人物がその作品世界にハッキリと存在しているのだ」という感覚が非常に薄っぺらく思えるといった部分に尽きるんじゃないかなー、と。


■その情報を「受け取る」事と「感じる」事の違い

 アニメ「BLOOD-C」が何故理解出来ない(理解しにくい)かをメタ的というか俯瞰して言うと、「作品全体において説明台詞が存在しない」というその一点に尽きます。

 七原文人及び実験のメインキャストが最終回ら辺でやっと実験の種明かしをするのも「こういう打ち合わせ(段取り)だっただろ?」という確認に迫られたからですし、とかく作品において自然な流れでの台詞回しが展開されます。

 視聴者が求めているのは今起きている事象に対しての説明なのですが、作品内においてはその必要に毛ほども迫られていないので視聴者を置いてきぼりにして話が進む。何度も「どういう話なのか」を咀嚼して自分なりの流れを見出した結果、最終回の展開に辿り着く…と。

 「何故、説明がないのか」に対しての答えは、「作品の時系列で説明に近い情報開示が為されるのが最終回近くにしか無かった」という答えと「作品の展開に至るまでの由縁は既に登場人物の中で消化されてしまっているのだ」という答えと「各登場人物がそこに存在するというリアリティを優先してそうなった」という答えと「視聴者を最終回の<古きもの>に喰われるエキストラ同様『自分の枠の中だけで処理しようとする人々』にしたかったのか」という答えになるでしょう。類似してるものもありますがそこはご愛嬌。

 説明ゼリフを廃したフィルムで、喰われるエキストラを見殺しにするような人間とはズレている小夜が、作品内においてひたすら「人間を守る」という鎧武者の<古きもの>が呵々大笑するような滑稽な行動を取り続け、最終的に失われた記憶を取り戻した後に、実験の中で(全部ウソだったんだけど)確かなモノとして感じた人の大切さを(『守る』という事の真の意味を)見出して最後のシーンに辿り着くという流れは説明されるよりも実際に観て感じるべきじゃないのかなーと。

 作品の序盤で繰り広げられる展開はやがて視聴者の範疇を超えていくんだけども、その実作品の根幹に流れているのは非常に真面目で歪んでいる。何ていうか人間じゃないという前提条件からその獲得方法まで歪んでいるんですけど、小夜が最後に辿り着くのはそれでも「ヒトを守る(愛する)」という事なんですね。その手段は本当に歪んでいるし結果として流れた血の量が多いんじゃないかって事でもあるんですけど、それでも小夜はシンプルに諸悪の根源である<古きもの>を…七原文人を斬りにいく。

 唯芳との戦いで見えた光というのは「ヒトを守る」事の欺瞞抜きの答えなんじゃないかと思ってます。何故唯芳を斬ったか。七原に使役され小夜の血によって自分の意志を縛られた唯芳の尊厳を守る為なんじゃないか、と。だからこそ真の力を発揮して唯芳に勝つことが出来たのではないかと、そう思うのです。


■何だかんだで血Cが好き。

 小説版の感想は「ストーリーラインをなぞるのでは無くいっそ作品内で起きた出来事のレポートみたいなスタンスで書けばもっと面白かったんじゃないかなー」に集約したいと思います。

 七原文人の回顧録みたいな感じでも良かったんじゃないですか。何を考えてたのかもわかるし何より凄い読んでみたいです。うーんそれじゃやっぱ意味ワカンネーってなるんですかね。

 自分も7話か8話ぐらいまでぶわーっと期待しながら学校襲撃のあたりで置いてきぼりにされたのに頭抱えて11話でピクリとも動かない小夜に憤って見返したりしてやっとどうしようも無いくらいに好きになった経緯がありますけど、何ていうか受け手が対応していないフォーマット(構成の仕方というか作品の組み立て方)に沿って物語を展開するのが好まれないのは残念かなーと感じます。

 いや自分でも欠片も理解が足りてなかったりという不勉強もあるんですけど、作品に対する解釈の仕方を大衆向け(理解しやすいもの)だけに限定しちゃう事で変化球みたいな作品に対して「ストレート投げろ」って言うのって凄い残念だと思うんですよね。球種だけじゃなくて投法でもいい。そういう発信する側からの球を色んな形で打ち返すのが楽しくもありまた醍醐味でもあるんじゃないでしょうか。



 ピッチャーとバッターの関係につなげちゃうと、バッターには自然と打ち返せる球種とかストライクゾーンが在るわけで…そう考えると打ち返せる範囲が広いのはより多くの作品を受容出来ているって事になるのか……?

 …あー、打ち返しにくい球ばっか返してると本来のフォームが崩れるってのもまたらしいっちゃらしいな……。


 オチが見えないのでココら辺で〆たいと思います。蛇足でした。




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