黒執事Ⅱ 第十二話「黒執事」感想

 総ては永遠に融けてゆく。セバスチャンも、シエルも。(以下、滔々と)





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時を越えても、共に。





あらすじ:ハンナ・アナフェローズがシエルの肉体を借りたアロイスの魂と契約を交わしたことで、シエルの魂が目醒める事はなくなった。アロイスの契約内容を果たし、ハンナを討ち取るまで。セバスチャンとクロードは、ハンナに導かれるまま悪魔の聖域へと辿りつく。

 アロイスが求めたのは二人の黒執事の決闘。悪魔が悪魔を殺す為の死合い。

 そして。


 戦いの果てにセバスチャンはクロードに剣を突き立てる。クロードは、誰かの執事として逝った。

 契約は完了した。聖域が崩れ落ちる中、シエルを取り返す為にセバスチャンが彼を抱くハンナへと手を伸ばす。しかし彼女は告げた。

 「肉体が戻った所で、シエル・ファントムハイヴは貴方にとって屍人同然なのです」と。


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◆今回のタロット◆

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【悪魔/デビル】

 ・節度を持って生活をしようとするほど、欲望に対する誘惑が襲いかかる、その誘惑を表す
 ・誘惑に負ける、打算、悪友、本分を忘れるなどを意味する

 正位置:誘惑、くされ縁、束縛、下心、冷たい人
 逆位置:束縛からの解放、好転、自分のペースがつかめる、自由で気楽、執着していたことがふっきれる

 ※引用元:タロットカード(Tarot)の意味


 カード全体の意味から考えれば、悪魔が執事として一歩引いて生きようとする中で主人の魂への欲求が深まり高まりゆくコトとあの一瞬セバスチャンが本当にシエルを欲していたと解るコトを表してると思います。正位置では束縛されてゆくセバスチャンを、逆位置では総てから解き放たれてしまったシエルを表現しているものと思われます。


■シエルの魂を賭けた、真の意味での殺執事

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 アロイスの魂がシエルの肉体を借りてハンナと再契約を果たし、シエルの魂は封じ込められた。解放する方法は唯一つ。アロイスの願いを叶え、ハンナを討ち取ること。

 悪魔の聖域で、セバスチャンとクロードはシエルの魂を求めて悪魔同士の決闘を開始する。

 永遠を生きる悪魔が死を得られる方法、それはハンナがその身に収めたレーバンティンでの斬撃。

 セバスチャンは手にしたレーバンティンで悪魔の聖域を引き裂き、崩落へと導いた。どちらかがレーバンティンを相手の刃に突き立てぬ限り決闘は終わらない。足場が崩れた一瞬の隙をついて、倒れこんだクロードをレーバンティンで貫いた。

 主人の魂を悪辣に絡めとった悪魔が、逆に主人に絡め取られ死に向かう。死に際にクロードは呟く。

 「情熱を不実に、偽りを真実に、野良犬を伯爵に、それが…  …の執事」

 よく似た主人を持ち、よく似た立場に身を置き、対峙した悪魔。果たして彼は誰の執事として消えたのか。セバスチャンは、クロードが息絶えるのを静かに見ていた。


■因縁の結実

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 崩落する悪魔の聖域。海に面した崖でセバスチャンとシエルを抱いたハンナが向きあう。喰らうべきシエルの魂を求めて、セバスチャンはシエルを返すようハンナに求める。しかし、アロイスの願いは業の深いものであった。

 シエルはアロイスと精神を同居させていた為に契約内容を知っていた。彼は、セバスチャンが全貌を知った時にどう動くのかを静かに見ていた。

 ハンナがシエルの肉体と共に海へと身を投げる。深く沈んでゆくシエルを引き上げようとセバスチャンも海へ飛び込む。ロンドンで天使を討ち取ったあの時のように。

 救い出して喰らえる魂であるか、掬い出して喰らえる魂になるかの違いは生じたが。

 クロードの亡骸に身を寄せ、ハンナは目を寄せる。ハンナの内でアロイスとルカが再会し、その歓びを分かち合う。彼らが得た幸せ。アロイスの契約内容の達成。

 海中で覚醒したシエルの瞳が紅に染まるのを見てセバスチャンはその契約内容を知った。

 刹那、シエルの肉体を拳で撃ち抜いた。

 シエルの体から溢れる血が海に漂う。

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■それでも貴方は執事ですか?

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 時が経ち、ロンドンのファントムハイヴ邸にはいつもの光景があった。朝の給仕。着衣を手伝い、紅茶を入れるセバスチャン。銘柄はニュームーンドロップ。手渡されたティーカップを取り味わって飲むシエル。独りごちるように。

 何も入ってない。ティーカップにも、ティーポットにも。虚無が其処にあった。

 悪魔は、食べ物の味など分からない。


 アロイス・トランシーがハンナ・アナフェローズと交わした契約。シエル・ファントムハイヴを、セバスチャンとクロードのどちらかの手に渡ってもその魂を喰らえないようにする。

 シエル・ファントムハイヴを悪魔とすることで。

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 あの夜、トランシー邸の時計台の下でシエルはセバスチャンに執事であることを命じセバスチャンはそれを承服した。一つ歯車がずれてしまえば、そのまま永遠に噛みあうこと無く回り続ける命令。

 「命令だ、さっさと魂を喰らえ。僕の魂を喰らい尽くす、最期のその瞬間までお前は僕の執事だ。セバスチャン・ミカエリス」

 その命令が絶対である以上、二人はその関係を継続しなければならない。喩えシエルが悪魔となり、セバスチャンが魂を喰らえない現状であっても。

 暫くして、シエルとセバスチャンはファントムハイヴ邸を離れた。近しい者には別れを告げて。贈られた箱の中にあったカードには文字が刻まれていた。

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 シエル・ファントムハイヴを偲んで。 1889年8月26日死亡、享年13歳。


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 モノクロで出来た薔薇の花畑。二人はそこにいた。永遠を見つめ、確かめ合い、誓い、そして。

 永遠を駆けた。

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■有限に取り残された生者たち

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 終わりましたね、黒執事Ⅱ。ラストのシーンには鳥肌が止まりませんでした。

 視聴者が求めるEDは多々あったと思います。その中でも一番しっくり来るEDは契約通りにセバスチャンがシエルを喰らうようなものだったハズです。しかし、その期待は大きく外れて今回のラストになりました。何で?、と思う人も多くいるでしょう。

 果たしてこの結末が、本当に受け入れられないものであるか。

 個人的には、一つのエンディングとして充分に受け入れられるものと考えてます。セバスチャンがシエルを喰らった後も永遠を生きるシナリオよりも二人で永遠を生きるシナリオの方が好き、とさえ思います。

 シエルが悪魔となった事を、ひいては作品の前提であった契約がちゃんとした形で履行されなかったコトを肯定的に見れるかで作品の評価も変わりますね。

 考え方次第で、二期自体が壮大な蛇足とも考える人もいてもおかしくはありません。しかし、視聴した人々の求めるエンディングがどちらであっても構わないように二期があったのだとも考えられませんでしょうか。

 シエルを喰らった後孤独に永遠に生き続けるセバスチャン・・・といったラストを求めるならば一期のみで視聴を差し止めるないしは二期を心のなかで無かった事にすべきでしょう。反してシエルとセバスチャンにずっと生きていて欲しいと願うならば二期も含めてアニメ黒執事だよねと定義すべきでしょう。

 どちらにしろ、悪魔と契約を交わした以上はどんな形であっても残酷な結末になるのだけは認めなければいけないのですから、その先にある受容の形はどんなものであっても構わないと思います。

 シエルとの別れを経験しなければならなかった、ファントムハイヴ家使用人一同にエリザベス・・・ソーマ達は真実さえ知り得無かったのですから。


 エリザベスの不遇っぷり際立ちましたよね。いいキャラなのになー。ああ、可哀相だなぁ…。


 終盤で劉への疑念が解消したのは収穫でしたよね。ああ、見逃してもらえてたんだと。つまりは一期でも生存して身を隠してたと。・・・あの藍猫とのクライマックスのシーンの後でしれっと脱出してたのかと考えると笑ってしまいますよね。

 …アバーライン兄はミスリードだったか。



 永遠を生きるシエルとセバスチャン。もしかしたら、現在も何処かで生きているのかもしれませんね。

 とそんな現実と物語の境界を曖昧にしつつ最終回の感想を締め括りたいと思います。ではまたいつか、何かの作品の感想記事で。




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黒執事最終回
Excerpt: いやぁ~~~なんつーか大胆な展開だった。 原作読んでないからアレだけど、2期は完全オリジナルでいいのよね?で、原作が続いてるのにアニメを終わらせなければいけないとなると、この結末も納得っちゃ納得。 ..
Weblog: 七 変 化-nanahenge-
Tracked: 2010-09-17 14:21